2014.6.10

中曽根康弘は、中曽根個人で1度、会長を務める世界平和研究所で1度、計2度の憲法改正試案(以下、試案)を発表しています。
結論を先に言いますと、2度の試案は条文こそ変わっていますが、国民受けする材料を提供して、事実上の独裁体制を目論むものです。立憲主義などお構いなく権力集中を是とする試案であり、かつ天皇(皇室)に対する憎悪すら感じられ、暗澹とした気持ちになります。
それぞれの試案の要点をまとめてみます。

日本財団のサイト
序および高度民主主義民定憲法草案
http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2002/01252/contents/514.htm

この高度民主主義民定憲草案の要点は、次の三つにあると思います。
1、「首相公選」という、国民受けする材料を提供する。
2、“君主の臣下”から生まれた用語である「大臣」を拒否するために、内閣首相という名称を造語する。
3、法案拒否権という強大な権限を持つ「憲法評議会」を作る。


立憲主義に違背し、権力が何ら制限されていない憲法評議会を使えば、首相の首のすげ替えは容易にできます。首相は公選されながら、実質的に憲法評議会のイエスマンに成り下がります(衆議院の解散権すらありません)。また、内閣首相という造語から、早々に天皇(皇室)を廃絶することは疑う余地もありません。
 

公益財団法人 世界平和研究所(会長・中曽根康弘)のサイト
平和研憲法試案
http://www.iips.org/research/data/kenpozenbun.pdf

この平和研憲法試案の特徴は次のようになります。
1、「国民主権」が、第一条の「天皇の地位」を完全包囲するような構成となっている。また「国民投票」の正当性付与の布石にもなっている。
2、国民受けする材料は、「国民投票」である。
3、法律案、予算案、条約の承認、いずれも衆議院が圧倒的に優越する。実質的な1院制実現。
4、最高裁判所の上位に、憲法裁判所を作る。

前回試案より巧妙で、首相公選や憲法評議会を取り下げるなど大きな変更がないように偽装しています。しかし、国民を煽って国民投票を悪用したり、憲法裁判所を牛耳れば(司法・立法の簒奪)、首相(行政権の長)は三権を支配して、独裁の道を開くことができます。また、国民主権の名の下、天皇(皇室)を合法的に廃絶すると思います。おそらく国民投票を用いて、国民看視の中で行われるでしょう。

以上、首相公選と国民投票という、国民受けする材料を提供し、それを“めくらまし”に使い真の目的を覆い隠すことこそ、中曽根試案の“肝”と思われます。中曽根康弘は既に政治的影響力を無くしましたが、こうした悪しき試案は“負の遺産”として引き継がれる虞があるので、その動向は注視していきたいと思います。

 

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