2016.5.29

「役に立つ馬鹿」。
これは、本人は自分自身を敵側の協力者と思っていないが、実際には都合良く利用されていることを軽蔑する表現です。

ブログ管理人は、この典型を見つけました。文谷数重なる軍事専門誌ライター(本人のプロフィールより。以下、軍事ライター)です。(最初、外国工作員を疑いましたが、論理が露骨すぎて工作員なら失格です。)

 

Japan In-depth

中国が沖縄に攻めてこないわけ
http://japan-indepth.jp/?p=28072
 

だが、その根拠となる見積もりや判断が示されたことはない。「なぜ中国が沖縄を侵攻するのか」「中国は対日戦を決意できるか」点の説明はない。結局は、宿命的に「絶対、攻めてくる」といったものでしかない。だが、駐留米軍がいなくなったところで、中国は沖縄に攻めてくるわけではない。その理由は次のとおりである。

■ 中国の進出方向ではない 

 まずは中国にとって進出方向ではない点である。このため具体的に侵攻対象となるものではない。 

 沖縄は中国が権益を伸ばす方向にはない。現在、中国が政治・経済・軍事力を注いでいるのは南シナ海である。そして将来的な発展方向も一路一帯、つまりは南アジアや中央アジアを指向している。日本や太平洋方面での動きは、漁業と艦隊行動に留まる。...

中略

この理屈には本質的な欠陥がある。本質的な対日米戦となり沖縄侵攻をすれば、それで中国は艦隊戦力を溶かしてしまうというものだ。沖縄が占領できるかどうかは厳しいが、もしそれができたとしても、その時には通すべき中国艦隊はなくなってしまうのである。

原文ママ


一帯一路構想は2014年に提唱されましたが、中国が「第一列島線」「第二列島線」を設定したのは1986年。中国は、四半世紀前から対米挑戦を考えており、その障害になるのが沖縄。ですから、当然一朝ことがあれば、沖縄を奪いにくるのは論理的帰結として常識です。

また、文谷による「中国艦隊がなくなってしまう根拠」が何も示されていないです。これは文谷の言葉を真似すれば、「宿命的に、全滅する」となります。

それに、軍事ライターにも関わらず、緊急展開部隊としての海兵隊を全く理解できていない...、突っ込みどころが多くて目が回りそうです。

さらに、文谷数重の凄いところは、中国にとって「役に立つ馬鹿」だけではなく、ロシアにとっても「役に立つ馬鹿」であること。

文谷は軍事ライターであるにも関わらず、3月25日に判明した「バル」「バスチオン」の配備方針に触れずじまい。

報道(日本経済新聞3月26日付)によれば『ロシアのショイグ国防相は25日、北方領土を含む千島列島(クリール諸島)に同国の海軍基地を年内に設置することを検討していると明らかにした。』とあるが、これほど重要な報道にも無関心。ロシアによる北海道侵攻には、この海軍基地が使われることは明らかです。

繰り返し言いますが、これで軍事ライターです。しかも、『軍事研究』という比較的権威ある雑誌にも寄稿していますから、頭を抱えたくなります。
 

北方領土が帰ってこない3つの理由
http://japan-indepth.jp/?p=27690

■唯一の居住可能地域

北方領土はロシアにとって貴重なため手放せない。サハリンから東では唯一の生活可能な地域であるためだ。北方領土には、農耕が可能であり安定した海上輸送が確保できる利点がある。意外かもしれないが極東ロシアで農耕可能な地域は少ない。


択捉島の単冠湾は、真珠湾攻撃の際、日本海軍の機動部隊が集結した港です。これほど戦略的に重要な港について一切言及せず、「居住可能地域」ですから唖然とします。もちろん、歴史に疎い文谷ですから、南樺太をロシア領としても恥じることがありません。

役に立つ馬鹿のなかでも別格の馬鹿、これが文谷数重という人物です。


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