2014.7.30

本のレビューです。

著者の寺谷ひろみは、他の著書では「寺谷弘壬」の名前で出版しており、この本だけ名前を“ひらなが”にしています。その理由の記載はなく、いまひとつ信頼できない本です。
著書あとがきを読むと、ノンフィクションらしいのですが、その情報源は主にインターネット情報であり、しかもどのサイトから引用したか記述もなく、読者には何も確かめようがないという不親切な本です。そうした点はかなり割り引いて読む必要があります。

さて、「暗殺国家ロシア」という現在のウクライナ情勢につながりそうなタイトルに惹かれて一気に読了しました。

なるほど、プーチンやFSB(KGBの後身)高官の心理を考察するのに、これは参考になる本です。
とにかく「邪魔者は消せ!」と言わんばかりに、プーチンを裏切った者や反プーチンの政商や政敵をことごとく暗殺するか破滅させるか、逮捕して刑務所送りにします。
外国に逃亡しても、暗殺者を送るという執念深さといい、放射性のポロニウム210を毒殺に使う残忍性といい、プーチンの暗部を改めて確認しました。
ちなみに、この著書によると、ロンドンで英国のアーセナル対ロシアのCSKAモスクワのサッカー試合が行われたが、そこにもポロニウムの痕跡が見つかったそうです。

1999年9月、ロシアではアパート連続爆破事件が発生し、チェチェン側のテロとされましたが、当初より情報機関の自作自演がささやかれていました。

目撃した住人は、「車の中の3人がチェチェン人ではなく、明らかにロシア人であった」と証言している。
....地元警察が通話記録を調べたところ、通話先はモスクワのFSB本部ルビヤンカであったという。車のロシア人3人はすぐに釈放になった。信じられない話である。
寺谷ひろみ『暗殺国家ロシア』、学研新書、135頁

事実かどうか何とも言えませんが、この著書によると、もともと第一次チェチェン戦争自体、チェチェンマフィアとロシア人マフィアの報復合戦が発端のようです。(ブログ管理人は、宗教がらみの独立紛争だと思い込んでいました。)

レビューはここまでですが、こうした本を読んでいれば、ロシアがマレーシア旅客機の撃墜に深く関与しても何も驚くに当たりません。普段どおりのロシアですから。
 
JUGEMテーマ:憲法改正