2020.4.8
私権制限がある緊急事態宣言が出された。
では、私権制限とは何か?
公権に対する概念とはいえ、次の引用を素直に読めば、「国民の権利」と同義である。(注1)
コトバンク
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
私法関係において認められる権利をいう。公権に対する概念である。この公権と私権の区別は,私法と公法との中間区域として社会法が出現拡大しているため,次第に意義を失ってきている。かつては,私権の行使は絶対的に自由だとされていたが,近時,私権も法秩序の一部であることが強調され,公共の福祉を理由とする制限が広く承認されることとなった (民法1条1項) 。私権は,その内容の点から財産権,身分権 (親族権) ,人格権,社員権,その作用の点から支配権,請求権,形成権,抗弁権,効力範囲の点から絶対権,相対権,一身専属権,一身非専属権などに分類される。
「国民の権利の制限」と説明すると国民的合意が得られにくい。だから「私権制限」に置き換えたと思われる。日頃「権利」「権利」と騒ぐ連中の批判を躱すためだ。
ここで誤解の無きよう明確にしておきたい。
ブログ管理人(以下、管理人)は、緊急事態時に「国民の権利」が制限されるのはやむを得ないと考える。分かりやすい例を出せば「軍隊の陣地を自分の敷地に作るな!」と言い出したら、自衛隊は塹壕ひとつ設営できない。緊急事態時に、財産権等が制限されるのは世界の“常識”である。
ただし、こうした国民の権利の制限に歯止めをかける規定も重要だ。歯止めには、国会の事前事後の承認などが必要だ。これが無ければ、為政者に白紙委任状を渡すことになる。
それとは別に、日本国憲法に「緊急事態」が規定されていないため、緊急事態への対応の遅れが危惧される。特別措置法を検討している最中に、手遅れになりかねない。それが原因で国民の多数が死亡する可能性さえある。
このように、憲法典に規定が無いと「歯止めがかからない」「即応できない」という危機管理上の大問題が出てくる(注2)。
注1
「国民の権利」と「人権」の違いについては、拙ブログの下記参照。約六年前にアップしたが、基本的な考えは変わっていない。
人権、それは危険な概念
http://kenpoukaisei.jugem.jp/?eid=15
注2
管理人は繁文憲法を了としない。ただし、緊急事態条項は憲法典に明記して、政府を縛る必要があると考える。
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