2019.5.20

 

続編は、天皇の退位等に関する皇室典範特例法(以下、特例法)の評価や前回エントリーの訂正なども加えて「最新版」の位置付けとなる。前回エントリー「皇族の正しい敬称」と併せてご覧いただきたい。

 

天皇陛下
・今上陛下も正しい。
・制度や憲法・法律において、陛下の敬称はつけない(注1)。

・歴代天皇と区別したり、昭和天皇などと並べて論じる場合「今上天皇」と表現することができる(注2)。
・天皇を歴史的存在かつ学問的に叙述する場合、敬称をつけないし敬語表現も必要ない。具体例として“昭和天皇は出かけた”と記しても構わない。
・崩御(ほうぎょ)された後は、敬称をつけない。昭和天皇陛下は誤り。
・諒闇践祚の場合、崩御された前の天皇を先帝陛下と呼ぶことができる。受禅践祚の場合、先の天皇陛下を先帝陛下と呼ぶことができる。御譲位されたので、5月1日以降、上皇陛下を先帝陛下とお呼びしても良い。
・実名敬避俗(注3)の観点から、敬称をつけても徳仁天皇陛下は不可。文脈によっては許される場合があるかもしれないが、極めて例外だと思う。


皇后陛下
・「陛下」の敬称が必須。皇后さま、雅子さまは誤り。
・「身位+敬称」が基本。
・ 実名敬避俗の観点から雅子皇后陛下という表現は不可。前述のとおり。

 

愛子内親王殿下
・宮内庁ウェブサイト(以下、宮内庁サイト)の表記は、愛子内親王殿下。しかし、実名敬避俗の観点から愛子内親王殿下という表現は避けたい。
そのため、「御称号+敬称」である敬宮殿下が一番望ましいと考える。敬宮は御称号(注4)。
・その反面、現在は御称号を耳にする機会が非常に減ったので、遺憾ながら御称号を使うと日本人同士であっても会話が成立しづらい状況にある。かつて皇室報道において、浩宮(天皇陛下の御称号)・礼宮(秋篠宮殿下の御称号)・紀宮(黒田清子様の御称号)が使われていた時代に比べて隔世の感を禁じ得ない。そうした点から、愛子内親王殿下を使うこともやむを得ないと考える。
・文脈によっては愛子殿下も可。
・「愛子さま」は誤り。

 

上皇陛下
・歴史的には太政天皇が正しい。その略称である上皇も歴史を踏まえている。だが、正式な称号(注5)にして良かったのか判断が難しい。
・「陛下」の敬称が必須。上皇さまは誤り。
・「称号+敬称」が基本。

・実名敬避俗については前述のとおり。


上皇后陛下
・歴史的に「上皇后」の称号は無く、急ごしらえの造語である。太上天皇の后として皇太后、もしくは上皇の后として太后とすべきであった。しかし、上皇后陛下が公の場でこの称号に異を唱えない限り、ブログ管理人(以下、管理人)は上皇后陛下とお呼びしたいと思う(注6)。
・歴史的に正しいのは皇太后陛下、太后陛下。
・特別法上は、上皇后陛下。
・「陛下」の敬称が必須。上皇后さまは誤り。美智子さまも誤り。
・「称号+敬称」が基本。

・実名敬避俗については前述のとおり。


秋篠宮皇嗣殿下
・宮内庁サイト表記は、秋篠宮皇嗣殿下・皇嗣文仁親王殿下(注7)。
・実名敬避俗の観点から、秋篠宮皇嗣殿下。
・歴史的に正しいのは皇太弟殿下又は皇太子殿下と思われる(注8)。

・東宮殿下も正しい。


秋篠宮皇嗣妃殿下
・宮内庁サイトの表記は、秋篠宮皇嗣妃殿下・皇嗣妃紀子殿下。
・実名敬避俗の観点から、秋篠宮皇嗣妃殿下。

・文脈によっては紀子殿下も可。
・「殿下」の敬称が必須。「紀子さま」は誤り。
紀子妃殿下は誤り(注9)。

・東宮妃殿下も正しい。

 
眞子内親王殿下
・「身位+敬称」をつけて眞子内親王殿下が正しい。
・文脈によっては眞子殿下でも可。「眞子さま」は誤り。
・秋篠宮眞子内親王殿下は不可。秋篠宮は、昭和天皇から文仁親王殿下に与えられた宮号であり名字ではない。
 
佳子内親王殿下
・「身位+敬称」をつけて佳子内親王殿下が正しい。
・文脈によっては佳子殿下でも可。「佳子さま」は誤り。
・前述のとおり、秋篠宮佳子内親王殿下は不可。
 
悠仁親王殿下
皇室の伝統から秋篠若宮殿下が一番望ましい。

・他の宮家に若宮がいる場合、〇〇若宮殿下が複数存在することになる。現状、秋篠若宮殿下お一人なので混同がおこらず、若宮殿下でも可と思われる。
・実名敬避俗の観点からもお名前は直接お呼びすることはできる限り避けたい。しかし、秋篠若宮殿下や若宮殿下も認知度が低いため、悠仁親王殿下とお呼びすることもやむを得ないと考える。
・文脈によっては悠仁殿下でも可。「悠仁さま」は誤り。
・前述のとおり、秋篠宮悠仁親王殿下は不可。

 
彬子女王殿下
・「身位+敬称」である女王殿下が正しい。
・文脈によっては彬子殿下でも可。「彬子さま」は誤り。


以下、重要な点を箇条書きにしてみた。言うまでもないが、これは私見である。

 

1、これまで、見出しを「皇族の正しい敬称」としていたが、「天皇・皇族の正しい敬称」に変更した。理由は、天皇は特別な存在であり、天皇が皇族に含まれないからだ(但し、皇室に天皇は含まれる)。こうした点をより厳密にした。


 

2、内閣告示・宮内庁告示など使われる「公式」な表記があるが、実名敬避俗とは馴染まない面がある。報道では、この「公式」な表記を使う場合があるが、敬称を付けて報道する場合もある。

 

・「公式」 皇嗣文仁親王

・宮内庁サイトの表記 秋篠宮皇嗣殿下、皇嗣文仁親王殿下

・報道例 皇嗣文仁親王 (「公式」と同じにする)

・報道例 秋篠宮皇嗣殿下

・報道例 皇嗣文仁親王殿下

 

 

3、従来、拙ブログでは「雅子妃殿下」「紀子妃殿下」を正しいとしてきたが誤りと訂正する。

 

4、特別法を完全に無視して、歴史的に正しい身位・称号を使っても正しいと思うし、むしろ使うべきかもしれない。非常に悩ましい。

 

5、御譲位の式典に関して、宮内庁の無能ぶりが露呈した。歴史や伝統を軽んじており後世の歴史家から強い批判を浴びるだろう。そのため、宮内庁サイトからの引用を控えたかったが、これに代わるものが無いので心ならずも使っている。


以上から、今後、管理人が使う身位・称号・敬称を次にまとめてみた。前述のとおり、歴史的に正しい太上天皇、皇太后、太后、皇太弟、皇太子などを使われる方がいても、その方の見識を尊重する。

 

天皇陛下、皇后陛下、敬宮殿下、上皇陛下、上皇后陛下、秋篠宮皇嗣殿下、秋篠宮皇嗣妃殿下、眞子内親王殿下、佳子内親王殿下、秋篠若宮殿下、常陸宮殿下、常陸宮妃殿下、 三笠宮妃殿下、鄂凌堂θ淌族次蔽10)、彬子女王殿下、 瑶子女王殿下、高円宮妃殿下、承子女王殿下

 

その他
・皇族を「◯◯さま」とお呼びすることについて

前回エントリーでは『皇室典範で定められた「陛下」「殿下」という敬称を用い、決して「○○さま」を使わないことに尽きる』と述べた。これに変更はないが、次の例も覚えておきたい。

 

元侍従次長である故木下道雄氏は『新編 宮中見聞論―昭和天皇にお仕えして』(日本教文社)という著書を出している。昭和天皇をはじめ皇室の方々のエピソードと同氏の天皇観をまとめた名著だ。まえがきには、部落との関わりを書いていて、同氏の篤実さがよく分かる。


さて、このような木下氏であっても、著書で「皇后さま」「皇后様」が数度使われている。だから、天皇・皇族を「◯◯さま」とお呼びしても、それを杓子定規に「反皇室」と解してはいけない。冷静に“文脈”から判断すべきだと改めて感じた。

 

その意味で、昨今の大手メディア(TVや週刊誌など)の「◯◯さま」は、やはり“文脈”で不敬なのである。もし、木下氏のような尊王心が少しでもあれば、覗き見趣味的な報道はできないはずだ。

 

・Wikipediaでの見出しについて
上皇后陛下の見出しは、『上皇后美智子』となっていて強い違和感がある。これについては、Wikipedia内で議論が行われており、その中で皇統譜の記載例が示されている。念の為、宮内庁書陵部の所蔵資料目録・画像公開システム(URL https://shoryobu.kunaicho.go.jp/Kobunsho/Detail/4000500010000)で確認すると、明治天皇の皇統譜で「皇太后夙子」の記載が確認できる。したがって『上皇后美智子』のように「称号+名前」が直ちに不敬表現とは考えない。ただ、これが許されるのは、辞典の見出しぐらいであろう。

 

・宮家について
前回エントリーのとおり、天皇家とお呼びすることは誤りであり、皇室を使うべきだ。

 

しかし、ここで一つ素朴な疑問が出てきた。

 

それは、「宮家」を使っていいのかという疑問だ。皇室に本家・分家という概念は無いので、「宮家」も誤りではないだろうか。管理人なりに調べてみたが未だ分からない。精通されている方の教えを請いたい。

 

 

注1
天皇の退位等に関する皇室典範特例法(以下、特例法)第1条に「天皇陛下」が使われたのは、法律の条文としては何かしら違和感がある。この場合「今上天皇」のほうが適切だったのではないか。

 

注2
TVで知名度の高い政治学者・三浦瑠麗氏は、討論番組の中で今上陛下でも今上天皇でもなく、単に「今上」を使った。「今上」の言葉自体にも敬う意味があるらしい。しかし、上皇后陛下(当時、皇后陛下)は今上陛下とお呼びになられていた。だから、それに倣って、「今上」のみは避けるべきだと思う。

 

注3

歴史を顧みれば、高貴な方の名前を直接呼ぶことは避けられていた。これを実名敬避俗と言う。続編はこれを追求してみた。

 

注4
前回エントリーでは称号としていたが、公式には御称号とされるので、今後は御称号とする。御称号とは、皇子・皇女に与えられる幼称で、宮家の子女には与えられない。だから、、眞子内親王殿下、佳子内親王殿下、秋篠若宮殿下には御称号は無い。

 

注5
皇室での身分を表す用語として「身位」が用いられるが、上皇・上皇后両陛下に関して「称号」が使われているので、それに準じた。

 

注6
上皇后陛下(当時、皇后陛下)は「生前退位」が一斉に報じられた時、以下のお話をされた。
「新聞の一面に『生前退位』という大きな活字を見た時の衝撃は大きなものでした。それまで私は、歴史の書物の中でもこうした表現に接したことが一度もなかったので、一瞬驚きと共に痛みを覚えたのかもしれません。」

こうした上皇后陛下であるので、自らの称号が歴史に無い「上皇后」に大変驚かれ悩まれたことと拝察する。しかし、日本国憲法第四条に反する懸念から拒むことも叶わず、苦渋の御了承をされたのではないか。一連の流れから、そうしたことが想像されるのである。

管理人は、上皇后陛下の御判断を重んじると同時に、この称号を阻止できない自分の非力さをお詫びしながら「上皇后陛下」とお呼びすることにした。


注7
特別法を読む限り、皇嗣は新称号と解される。


注8
特別法で、秋篠宮殿下は皇嗣殿下と定まった。確かに旧皇室典範・新皇室典範共に「皇嗣」の用語があるので、一応明治以降の歴史を踏まえたとも言える。だが、それ以前を遡れば「皇太弟」又は「皇太子」が使われている。巷間取りざたされる噂の真相は分からないが、歴史を鑑みれば「皇太弟」「皇太子」を選択すべきであった。

 

注9
紀子妃殿下は、以下の理由から間違いである。

 

(1)「妃殿下」は男性皇族の配偶者に用いられるので、紀子妃殿下とした場合「紀子殿下の配偶者」となり、日本語として意味不明になる。

 

(2)皇室典範に「妃殿下」という敬称は無い。あるのは、陛下と殿下。

 

(3)身位・敬称で考えると次になる。
「皇太子妃+殿下」「親王妃+殿下」「秋篠宮(宮号当主)の妃+殿下」
 

以上から、拙ブログの前回エントリーで、雅子妃殿下・紀子妃殿下を正しいをしたことを訂正する。


(4)なぜ間違ったか。
平成22年2月5日付「皇太子妃殿下のご病状に関する東宮職医師団の見解」(宮内庁サイトに掲載されている)には、皇太子妃殿下と妃殿下が併用されている。「妃殿下」は皇室典範における敬称ではないが、ここでは敬意を表す最上級の呼称として使われている。また、「皇族の妃を敬っていう語」としている辞典もある。管理人が前回エントリーで、「雅子妃殿下」「紀子妃殿下」を正しいと判断した理由はこれらにある。

 

注10
2012年、薨去された鄂凌堂Δ呂い困貉鯵浹椶魴僂阿發里隼廚錣譴討い燭里如宮号を賜っていない(つまり宮号が無い)。だから、必然的に鄂凌堂θ淌族爾箸覆襦

 

 

2019.6.3追加

秋篠宮皇嗣同妃両殿下に、それぞれ東宮殿下・東宮妃殿下を追加した。前記「御称号」のように使われる機会は減ったが、歴史的に正しい。

 

 

JUGEMテーマ:憲法改正

 

コメント
2020年4月19日まで長い。この間に女性天皇擁立派(看板は女性天皇容認だが実態は女系容認)が策動するので強い警戒が必要である。

また、立皇嗣の礼が恙なく挙行されても、即位辞退を狙う勢力による秋篠宮皇嗣殿下・秋篠宮皇嗣妃殿下に対する誹謗中傷は続くであろう。(天皇皇后両陛下が今まで受けてきた誹謗中傷の数々、それと同じである)

この勢力と女系容認はコインの裏表のようなものだ。
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  • 2019/05/23 8:49 PM
2017年6月28日付で、ブログ管理人は下記のエントリーを書き“皇嗣殿下”創設を強く批判した。

しかし、今回の「天皇・皇族の正しい敬称 続編」においては、“皇嗣殿下”を否定していない。

これは矛盾するのでは、と思われる方に補足説明したい。

2018年10月12日付新聞報道によれば、2020年4月19日に「立皇嗣の礼」が行わることになり、皇嗣の地位が正式に決まることになった。(それまでは、立太子の礼が挙行されるかどうか判然としなかった)

歴史を踏まえた「立太子の礼」ではなく「立皇嗣の礼」になったことに不安が残るものの、ある程度の道筋が見えてきたのも事実である。これにより、皇嗣殿下を可とした。(あくまでも「可」である)

“皇嗣殿下”ついて改めて考えてみた
http://kenpoukaisei.jugem.jp/?eid=370
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  • 2019/05/23 7:32 PM
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