2018.4.10

 

以下、主な改正点、私案からの改訂点をまとめて解説した。
「◆」から後が、解説となっている。

 

 

前文
日本国民は、古から天皇を戴き、祖先の叡智を遵奉し、幾十世代の祖先が築き上げた自由を相続している。
それゆえ、我々は、これらを子孫に継承する。
日本国民は、この世襲の義務を果たすことを決意して、ここに新しく憲法を制定する。
エドマンド・バークの哲学「時効」「世襲」、およびエドワード・コークの憲法原理「法の支配」を取り入れた前文である。なお、外国の哲学・思想は日本に馴染まないという反対論者は、明治憲法の制定過程を思い出すこと。それに、外国に学ぶだけでなく、さらに改良するのが、日本の“国柄”だ。仏教しかり。

 

 

第一条 天皇は、日本国の元首であり、日本国を代表する。
天皇の地位は元首であり、憲法に明記すべきである。現行憲法の「象徴」は曖昧すぎるので、元首のみとする。

 

 

第三条 皇室典範の改正は、皇室の発議に基づき、天皇を議長とする、または天皇が指名した皇族を議長とする皇室会議がこれを行う。
2 皇室会議は、成年の皇族男子全員で組織する。
3 皇室典範は、被占領下または緊急事態宣言下において、その改正をしてはならない。
憲法改正に合せて、皇室典範を奉還し典憲体制とする。また、皇室会議を可能な限り明治憲法下の「皇族会議」に戻すべきだ。

 

 

第五条 天皇の尊厳は、これを侵してはならない。
◆改訂前は「不可侵」を使っていたが、平易な言葉にした。

 

 

第九条 天皇は、国防軍を統帥し、最高指揮権を内閣総理大臣に授権する。
◆戦前の「統帥権の干犯」で悪いイメージがあるが、元首が軍を統帥するのは世界の常識。だからこそ、明治憲法下でも天皇が統帥した。明治憲法の欠点は、統帥と最高指揮権を分離しなかったこと。その反省に立って、憲法に明記する。また、内閣総理大臣に最高指揮権が授権されるので、軍に対する政治の優位を改めて明確にできる。

 

 

第十一条 皇室の祭祀ならびに儀式の伝統は、これを侵してはならない。
◆改訂前は「聖性」を使っていた。が、やや抽象的なので、分かりやすい「伝統」に置き換える。

 

 

第十二条 皇室財産は、皇室に帰属する。
◆説明は不要である。歴史的にみれば、これが当然である。皇室財産が、皇室に帰属しないのは不条理。

 


第十三条 国号は日本国であり、政体は立憲君主制である。
◆無駄な議論が起きないように、憲法の条文とする。
 


第十四条 日本国の領土は、祖先から相続した固有の領土である。
領土は、祖先から相続したものと定義する。よって、北方領土(南樺太・千島列島含む)、尖閣、竹島は、日本国の固有の領土である。

 


第十五条 日本国の国旗は日章旗であり、国歌は君が代である。
◆完全に定着しているので、憲法に明記する。
 


第十六条 確立された国際法規および慣例ならびに日本国が締結した条約は、これを誠実に遵守しなければならない。
国際法規等の遵守を内外に誓うため、あえて章を設け「第五章 第十六条」とした。

 

 

第十七条 日本国は、不断の外交努力により国際紛争の解決に努める。
2 前項の規定は、国際法規上の自衛権行使を妨げない。
3 第二項の目的を達成するために、国防軍を保持する。
第十八条 国防軍は、任務の遂行する際において、事前または事後に国会の承認を得なければならない。
第十九条 日本国は、軍刑法を定める。
具体的な文言のみとした。
 


第二十条 日本国は、伝統および慣習を正しく継承するために、華族を国の制度とする。
2 華族の地位は、世襲とする。ただし、日本国が一代限りの華族を授けることを妨げない。
3 華族は、公務員を兼ねることができる。
前出のバーク哲学から考えれば、公家や武家の出身者からなる華族は、日本に必要不可欠である。それを存在意義も含めて明確に規定した。この点は、明治憲法より踏み込んでいる。

 

 

第二十九条 日本国民は、国防に志願することができる。
◆徴兵の義務を課しても、徴兵逃れが続出し憲法の権威は忽ち失墜するだろう。また現状自衛隊は高度な専門化集団となっており、強い意志や能力が無い者に技能の修得は無理である。つまり、徴兵制は合理的ではなく、軍事力を弱めかねない。だから、義務ととは真逆に“権利”とすることが望ましい。ただし、以下が望まれる。
・志願者の社会的な優遇
・予備役の社会的な優遇
・傷痍軍人や戦没軍人の遺家族ならびに有功者とその遺家族に対し、特別に優遇する制度が必要である。

こうした点は、米国(名誉除隊)や韓国に学ぶべきである。憲法とは別の話になるが、志願に見合う実利の付与も考慮すべきだ。精神論だけで軍事力は高まらない。

 

 

第三十五条 日本国は、政党結成の自由を保障する。ただし、日本国の存立を危うくすることを目的とする政党の結成は認められない。
第三十六条 日本国は、政党に参加する、または政党に参加しない、ならびに政党から脱退する自由を保障する。
改訂前は、政党だけで一つの章を設けていたが、「第八章 日本国民の権利および義務」に統合した。

 

 

第三十八条 日本国は、この憲法の中に特定の権利を列挙したことをもって、日本国民の享有する他の権利を否定し、または軽視したものと解釈してはならない。
国民の権利等をかなり整理したが、それによって権利が無視されることがないように、注意を喚起する条文である。米国憲法を参考にした


 
第三十九条 司法権は、最高裁判所および法律の定めるところにより設置される下級裁判所に属する。ただし、法律の定めるところにより、特別裁判所を設置することができる。
2 特別裁判所として設置される軍事裁判所は、最高裁判所を終審の裁判所とする。
3 行政機関は、終審として裁判を行うことができない。
軍事裁判所(軍法会議)設置及び終審裁判所の規定である。

 


第五十条 内閣は、衆議院が不信任の決議案を可決し、または信任の決議案を否決したときは、衆議院を解散することができる。ただし、十日以内に衆議院が解散しない場合は、総辞職しなければならない。
2 内閣に対する不信任および信任の決議案については、その提出から四十八時間を経過しない限り、表決してはならない。  
◆みだりに不信任決議案が出ないようするため、“冷却期間“として四十八時間を設定した。外国の憲法に例がある。

 

 

第五十一条 内閣総理大臣が欠けたとき、または衆議院議員の総選挙の後に初めて国会の召集があったときは、内閣は、総辞職しなければならない。
2 内閣総理大臣が欠けたとき、その他これに準じる場合は、法律で定めるところの権限継承順位の当該者が、臨時に、その職務を行う。
◆権限継承順位を詳細に決めておくための条文。米国大統領に不測の事態が発生した時の危機管理に学ぶべきだと思う。

 


第五十四条 内閣は行政機関を指揮監督し、一般行政のほか、次に掲げる職務を行う。
一 皇室の名誉を守ること。
(略)
八 緊急事態の宣言を決定すること。ただし、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
この二つの職務を追加。いずれも極めて重要である。

 

 

第五十九条 衆議院は、直接に選挙された、全国民を代表する議員でこれを組織する。
2 参議院は、間接に選挙された、全国民を代表する議員でこれを組織する。
3 両議院の議員の定数は、法律で定める。
参議院は間接選挙とする。

 

 

第七十七条 法律案は、この憲法に特別の定めのある場合を除いて、両議院で可決したとき法律となる。
2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で通常国会三会期連続して同じ法律案を可決したときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
3 前項の規定は、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。
英国を参考にした。なお、予算関連法律案不成立の場合については、明治憲法に倣って第八十五条二項を用意した。

 

 

第八十一条 日本国の伝統および慣習を尊重しない、またはこれに反する立法は許されない。
◆立法制限の条文である。

 


第八十五条 内閣は、毎会計年度の予算案を作成し、国会に提出して、その審議を受け、国会の議決を経なければならない。
2 会計年度の終わりまでに、翌年度の予算案ならびに予算関連法律案が議決されるに至らない場合においては、内閣は、これらが議決されるまでの間、前年度の予算の範囲内で、必要な支出をなすことができる。
予算関連法律案が可決できない場合、これで対応する。いわゆる「ねじれ国会」の轍を踏まないための措置である。

 

 

第九十三条 緊急事態の宣言は、次に掲げる効力を生じる。
一 内閣は、法律と同一の効力を有する政令を制定することができる。
二 内閣は、国会の議決を経ることなく、直ちに財政上必要な支出その他の処分を行うことができる。
2 前項については、法律の定めるところにより、事前又は事後に国会の承認を得なければならない。
第九十四条 内閣は、百日を超えて緊急事態の宣言を継続しようとするときは、百日を超えるごとに事前に国会の承認を得なければならない。
第九十五条 緊急事態が宣言された場合、国会の会期は、国会の承認でその継続延長ができる。また、国会議員の任期満了後または衆議院の解散後に緊急事態が宣言された場合、あらたに国会が成立するまでの間、前の国会が引き続きその権限を行うものとする。
◆緊急事態に備えた条文であるが、内閣の“暴走”を防止する目的もある。


 
第九十六条 この憲法の改正は、内閣または両議院の各々その総議員の二分の一以上の議員によって発議される。
2 両議院は、各々その総議員の二分の一以上の出席がなければ、憲法改正案を議決することはできない。また、憲法改正案は、各々その出席議員の三分の二以上の賛成を必要とする。
3 議決された憲法改正案は、国民投票により承認されるものとする。この承認には、国民投票において有効投票の過半数の賛成を必要とする。
4 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、直ちに、憲法改正を公布する。
5 この憲法を改正できない期間は、第三条第三項を準用する。

◆改正案は両議院から発議されるのが望ましいが、内閣でも発議可能とした。また野党が抵抗して出席を拒否した場合、与党だけで賛成多数になる。「各々その​出席議員の三分の二以上の賛成を必要とする。」が肝である。これにより、緊張感が漲った改正論議が期待できる。

 

 

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