2014.5.25

現行憲法の下で“死語”となりつつある「万世一系」ですが、かつて明治憲法第一条に使われていました。

大日本帝国憲法(明治憲法のこと)
第一条 大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス

その由来は次のとおりです。また、この「万世一系」は法律用語であり、この一語で保守主義の憲法原理「時効の原理」「相続の原理」を併せ持っています。

だが、「万世一系」は、学者公家の厳垣松苗の著『国史略』(1826年)における「歴世天皇 正統一系  亘万世而不革」から採っている。岩倉具視が造語したとするのが、通説である。(囲みを下線に変更ブログ管理人)
中川八洋『小林よしのり「新天皇論」の過毒』、オークラ出版、277〜8頁

ブログ管理人は、憲法改正私案を作成するに当たり、この「万世一系」を使用するかどうか迷いました。戦前の「赤い軍人」「赤い官僚」「赤い歴史家」らは、「万世一系」を悪用して天皇を神のごとく持ち上げ、国民を洗脳しました。それを警戒する面もありますが、それ以上に「万世一系」は超俗的すぎて、しっくりしない気がするからです。
普通の国民(ブログ管理人含む)は、“天皇(皇室)は100代以上も前から続いていて、皇族も高貴な方々ばかりである”という素朴な崇敬の念を持っています。しかし、「万世一系」は“頭でっかち”の感が否めず、素朴な崇敬な念を塞き止める懸念があるからです。天皇(皇室)への崇敬の念は、「相続の原理」に根本に関わることですから深慮遠望が必要です。

それらを踏まえ、拙ブログの憲法改正私案では、「万世一系」は採用しませんでした。その代わりに、「古から」と「世襲の義務」を用いて、超俗的になり過ぎないように配慮しつつ憲法前文を構成しました。
なお、ブログ管理人は、皇室の“法”である皇室典範の非法律化を主張していますが、「万世一系」は、皇室典範においては使われるべき用語と思います。皇室の方々ですから、それこそ「万世一系」は日々の現実であり、超俗的になり得ないからです。

 
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