2016.1.5

ブログ管理人は、保守イチローさんのブログに触発されて山本勝市氏の情報を集め始めました。もし何か情報をお持ちのかたは、何でも構いませんのでコメント欄にご記入お願いします。

以下、検索と引用です。
 
1、国立国会図書館 リサーチナビ
「旧蔵者履歴」に、山本氏の基本情報が掲載されています。国会図書館提供の情報ですから、おそらく正確。
 


2、中川八洋氏の著書より引用。
 
 ソ連邦が1991年末に崩壊したこともあって、今日では、市場経済が常識の経済体制である。このため、戦前日本では市場経済が全面否定されて、なぜ計画経済論と統制経済論しか存在しなかったかについて、実感をもって理解するのが難しい。
 市場経済擁護論が日本に存在しなかったのは、世界の経済学界でもそれが強く存在しなかったからでもあった。ヒットラーの「統制経済」とスターリンの「計画経済」に対する、反撃的批判の本格的な最初の作品、フォン・ハイエクの『隷従の道』は1944年に出版された。日本が米国に降伏する一年前であった。仮に日本に上陸したとしても「すでに遅し」である。ソ連型計画経済に批判する声は、フォン・ミーゼスの論文などが若干は輸入され読まれていたことを除けば(注1)、日本人の経済学者ではたった一人、山本勝市しかなかった。
(中略)
...ただ、山本勝市の論の進め方は、ハイエクの恩師であるフォン・ミーゼスの計画経済批判と同種のタイプで、「経済計算」に限定したため、闘争性を知的魅惑で包むハイエクの『隷従の道』のような迫力がない。...

中川八洋『山本五十六の大罪』弓立社、2008年、305頁〜306頁

 
3、次に引用するPDFファイルは、村田稔雄氏が翻訳したフォン・ミーゼス著『自由への決断』が「パブリック・ドメイン」として無料で公開されたものです。このファイルの中に、山本勝市氏による「推薦のことば」があります。(なお、村田氏はフォン・ミーゼスに師事しています。)
 
自由への決断
今日と明日を思索するミーゼスの経済学
ルートヴィヒ・フォン・ミーゼス
村田 稔雄 訳
自由経済研究所 版

http://www.catallaxy.jp/files/EconomicPolicy.pdf


4、石橋湛山記念財団サイトより抜粋したものですが、ここに山本勝市氏の情報があります。この情報が正しければ、山本氏は社会主義者として出発したようです。いったん社会主義に染まると、ほとんどの人は抜けられなくなるのに、山本氏が完全に“離脱”できた理由が知りたいです。

なお、牧野邦昭氏の講演内容について管理人は賛同していません。あくまでも、山本勝市氏の情報に刮目してください。
 
牧野邦昭氏・受賞記念講演
http://www.ishibashi-mf.org/prize/32th.html

そして戦中戦後、石橋湛山と深く交流した河上関係者の代表としては、山本勝市という人物が挙げられます。山本については私の本の第2章で比較的詳しく扱っていますが、もともとは『貧乏物語』に感動して京都帝国大学で河上に学んだ人で、社会主義者として出発します。しかしヨーロッパ留学中、フランス重農学派、ケネーなどの研究を行って、経済における自然の秩序、つまり市場メカニズムが「見えざる手」として働くことによって生じる社会の秩序の重要性を知り、また実際に当時のソ連を訪れて経済建設が大きく遅れていることを知り、社会主義批判者になっていきます。
 さらに山本は、当時、ミーゼス、ハイエクといった人たちが議論していた「社会主義経済計算論争」に注目しています。つまり経済においては費用と便益を比較して生産を行わなければいけない。資本主義では市場価格によって費用と便益との比較ができるが、社会主義ではそもそも市場が存在しないのだから価格が存在しない。したがって費用と便益を比較する手段がないため効率的な生産は不可能である。こうしたハイエクらの議論を参考にして、市場メカニズム、特に価格を形成する自由な市場を維持することを強く主張し、社会主義を批判していきます。
 こうした山本の思想は、社会主義思想を弾圧していた当時の文部省には非常に都合のいいものでしたので、山本は文部省の研究所で学生の左翼化を防止する、あるいは転向させるための活動に従事する訳ですが、他方、戦時体制下において統制経済への志向が強められてきますと、山本の立場は統制経済を志向する陸軍だとか、あるいは当時の革新官僚と呼ばれた人々と、大きく対立するものになっていきます。


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コメント
錬金術師様

情報提供有難うございます。お気づきのことと存じますが、最近コメントを返すことを原則止めております。御礼のみでご海容ください。
  • by マウス
  • 2019/05/01 7:03 AM

マウス様

はじめまして、山本勝市氏の著書が復刊される情報を入手したので、お伝えします。

福祉国家亡国論が呉pass出版から復刊されます。
発売日は令和元年5月20日です。
  • by 錬金術師
  • 2019/04/30 9:51 AM
備忘録

福祉国家亡国論131頁

そもそも国民経済の完全雇用の状態というのは、物価安定と賃金上昇と完全雇用の三者がもはや一致させることのできない状態である。われわれは、完全雇用の状態に達すると物価安定と完全雇用を守るために賃金アップを断念するか、物価安定と賃金アップを実現するために完全雇用を犠牲にするか、あるいはまた、完全雇用と賃金アップを選んで物価上昇の道を進むかのほかはない。最後の道が賃金物価の悪循環の進行する道で、いま完全雇用政策をとり、労働組合に団結強制の特権を認めている世界の国々がたどりつつある慢性インフレの道である。
  • by マウス
  • 2016/01/11 10:23 PM
備忘録

山本勝市『福祉国家亡国論』を読んでみた。同著の最後に研究者らと討論会を開き、一問一答形式で編集してある。箇条書きしてみた。

自由と福祉をめぐる一問一答

自由社会の競争に絶対的弱者、強者は存在しない

自由経済では中小企業も根強く生きていく

自由社会におけいる貧富は相対的かつ変動的である

自由社会で平等な生活はありえない

自主的努力の意欲を弱めない程度が最低保障の限度

経済的福祉の増大は精神的福祉の減退をもたらす

「福祉」は大きいことが必ずしもよいことではない

民主主義だけでは自由は守れない

福祉は最低生活の保障という原点に戻るべきだ

低福祉・低負担こそ自由社会の福祉の基本原則である

累進課税は労働意欲を低下させる
  • by マウス
  • 2016/01/10 8:26 PM
保守イチロー様

まず、ウィキ自体の運営に問題がありすぎです。ニューズウィーク日本版2015年4月14日号の「ウィキペディアに騙されて」という特集を読むと実態がよくわかります。朝日新聞や東京新聞より少しマシなメディア程度と思わないと、あっさり騙されそうです。

それから、私が手を上げて「書きます」といいたいところですが、残念ながら能力的に無理です(笑)

なお、先ほど、リプケについて論文を見つけました。結構読み応えがあります。

http://www.biwako.shiga-u.ac.jp/eml/Ronso/325/325fukuda.PDF
  • by マウス
  • 2016/01/06 11:03 PM
マウス様

山本勝市とウィルヘルム・レプケが日本版wikipediaに載らないのは、どう考えてもオカシイですよね。

http://hoshuichiro.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/wikipedia4-83f8.html

http://hoshuichiro.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/wikipedia-e0cc.html
  • by 保守イチロー
  • 2016/01/06 9:04 PM
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